ワクチンで感染症の予防を
予防接種は、ワクチンによって免疫をつくり、特定の感染症にかかるリスクを大幅に減らします。特に重症化しやすい麻疹、風疹、インフルエンザ、肺炎などの感染予防には効果的です。
ワクチンを接種しても感染する可能性はゼロではありませんが、接種した場合は症状が軽く済み、合併症や重症化を防ぐ効果があります。
また、多くの人が予防接種を受けることで集団免疫が形成され、地域や社会全体で感染の拡大を防ぐことができます。特に免疫力が弱い乳幼児や高齢者を間接的に守ることにもつながります。
予防接種の副作用・リスク
予防接種を検討するにあたり、副作用やリスクを懸念される患者さんは少なくありません。予防接種を受けることのメリットとリスクをよく理解して、ご自身にあった選択をとりましょう。
- 接種部位の痛みや腫れ、発熱
一般的な副反応として、接種した部位が腫れる、赤くなる、痛む、または軽い発熱が見られることがあります。多くの場合、数日で自然に治まります。 - アレルギー反応(アナフィラキシー)
非常にまれですが、アレルギー体質の方にはワクチンの成分に対する重篤なアレルギー反応(じんましん、呼吸困難など)が起こることがあります。この場合、速やかな医療処置が必要です。 - 副反応による倦怠感や全身症状
まれに、強いだるさ、筋肉痛、頭痛などの全身的な症状が出ることがありますが、多くは一時的なものです。 - 重篤な副作用(極めて稀なケース)
ワクチンによっては、脳炎、けいれん、ギラン・バレー症候群といった重い副作用が報告されることがあります。ただし、発生頻度は極めて低く、ワクチンの利益がリスクを上回るとされています。
接種しても十分な免疫がつかない場合や、免疫が時間の経過とともに弱まることがあります。そのため、複数回の接種やブースター接種が必要になる場合があります。
予防接種は、個人の感染予防だけでなく、社会全体で感染症を抑えるために重要です。リスクはゼロではありませんが、重篤な副反応の発生率は非常に低く、メリットがリスクを大きく上回るとされています。接種前には医師によるリスク評価を受け、不安があれば相談することが大切です。
当院の予防接種一覧
小児の予防接種は、原則として1歳以降から行っております。定期接種ワクチンであっても、法定の接種期間を過ぎると任意接種扱いとなり、有料となりますのでご注意ください。
ご予約は、インターネットから希望日の1か月前より可能です。予約の際には接種歴の入力が必要となりますので、事前に母子手帳をご準備ください。また、接種当日も必ず母子手帳をご持参ください。
当院では、13歳未満のお子様および18歳未満で子宮頸がんワクチンを接種される方には、保護者の同伴が必要です。スムーズな接種のため、事前準備にご協力をお願いいたします。
ワクチン名 | 料金(円) |
---|---|
麻疹風疹ワクチン | 9,900円 |
Hibワクチン | 9,900円 |
水痘ワクチン | 8,800円 |
子宮頸がんワクチン (シルガード9) |
29,700円 |
おたふくかぜワクチン | 6,600円 |
日本脳炎ワクチン (第1期・第2期) |
7,700円 |
インフルエンザワクチン | 要問合 |
フルミスト | 要問合 |
2種混合 (ジフテリア・破傷風) |
4,730円 |
麻疹ワクチン | 6,270円 |
4種混合 | 8,150円 |
風疹ワクチン | 6,270円 |
小児用肺炎球菌ワクチン | 11,000円 |
肺炎球菌ワクチン (ニューモバックス) |
11,000円 |
B型肝炎ワクチン | 6,270円 |
帯状疱疹予防ワクチン (水痘) |
8,800円 |
帯状疱疹予防ワクチン (シングリックス) |
23,100円 |
各ワクチンの特徴
麻疹風疹ワクチン(MRワクチン)
MRワクチンは、麻疹(はしか)と風疹に対する予防接種です。麻疹は非常に感染力が強く、高熱、咳、発疹などを伴い、肺炎や脳炎に進行することもあります。風疹は発熱、発疹、リンパ節の腫れを特徴としますが、妊婦が感染すると胎児に先天性風疹症候群(難聴、心疾患などの障害)を引き起こすリスクが高まります。ワクチン接種により、これらの重篤な疾患の予防が可能です。
Hibワクチン(インフルエンザ菌b型)
Hib感染症は、乳幼児における細菌性髄膜炎や敗血症、喉頭蓋炎などを引き起こす可能性があります。特に、髄膜炎は後遺症を残す危険があり、早期の予防が重要です。Hibワクチンはこのインフルエンザ菌b型による重篤な感染症を防ぐ効果が高く、乳幼児の定期接種として推奨されています。
水痘ワクチン(帯状疱疹予防も含む)
水痘は、水ぼうそうとして知られるウイルス感染症で、発熱と全身に小さな水疱を伴います。特に大人が罹患すると重症化しやすく、肺炎や脳炎を引き起こすことがあります。また、水痘に罹った人は将来的に帯状疱疹を発症するリスクがあるため、ワクチン接種がその予防に役立ちます。
子宮頸がんワクチン(シルガード9)
ヒトパピローマウイルス(HPV)は子宮頸がんの主な原因とされています。シルガード9は、9つの型に対する感染予防効果があり、特にがんを引き起こしやすい高リスク型(16型、18型など)に対応しています。ワクチン接種により、子宮頸がんだけでなく、尖圭コンジローマや他のHPV関連がんの予防効果も期待されます。
おたふくかぜワクチン(ムンプス)
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は、ムンプスウイルスによる感染症で、発熱、耳下腺の腫れを特徴とします。まれに髄膜炎、難聴、精巣炎、卵巣炎などの合併症が生じるため、予防が重要です。おたふくかぜワクチンはこれらの重篤な合併症を予防します。
日本脳炎ワクチン
日本脳炎は、蚊を介して感染するウイルス性疾患で、脳炎を引き起こすことがあります。重症化すると後遺症や死亡のリスクがあります。日本脳炎ワクチンは、流行地域における感染リスクを低減するために重要です。
インフルエンザワクチン
インフルエンザは、毎年流行するウイルス感染症で、肺炎や重症化するリスクが高いです。特に高齢者や基礎疾患を持つ方においては重篤な合併症が懸念されます。
フルミスト
フルミストは経鼻スプレー型の生ワクチンで、注射に代わる選択肢です。年齢や基礎疾患に応じた接種方法が推奨されます。
二種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風)
ジフテリアは、喉や気道に偽膜を形成して窒息や心筋炎を引き起こす感染症です。一方、破傷風は、けがの傷口から感染することで神経系に影響し、筋肉のけいれんや呼吸困難を引き起こします。二種混合ワクチンは、この両疾患の予防に役立ちます。
麻疹ワクチン
麻疹は発熱、発疹、咳などを伴い、肺炎や脳炎の原因となることもある感染症です。重症化のリスクが高いため、ワクチン接種による確実な予防が求められます。
4種混合ワクチン(DPT-IPV)
4種混合ワクチンは、ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ(急性灰白髄炎)に対する予防です。百日咳は長引く咳を特徴とし、乳幼児では重症化することが多いです。また、ポリオは神経系に感染して麻痺を引き起こします。このワクチンは幼児期に重要な定期接種です。
風疹ワクチン
風疹は妊婦が感染すると胎児に先天性障害をもたらすことがあります。また、大人でも発熱や発疹のほか、関節痛などがみられます。風疹ワクチンは、こうした重篤な合併症を防ぐため、特に妊娠を計画する女性に推奨されています。
小児用肺炎球菌ワクチン
肺炎球菌は、小児において髄膜炎、肺炎、敗血症など重い感染症の原因になります。ワクチン接種により、特に重症化リスクの高い乳幼児の命を守ることが期待されます。
肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)
ニューモバックスは、成人向けの肺炎球菌ワクチンで、慢性疾患を持つ方や高齢者における肺炎や敗血症などの予防に有効です。特にインフルエンザとの同時感染を防ぐためにも重要です。
B型肝炎ワクチン
B型肝炎ウイルスは、血液や体液を介して感染し、慢性肝炎、肝硬変、肝がんに進行するリスクがあります。ワクチン接種により、早期からの予防が可能で、特に母子感染予防においては効果的です。
帯状疱疹予防ワクチン(シングリックス)
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化することで発症し、強い神経痛を伴うことが多いです。シングリックスは、従来の水痘ワクチンに比べて帯状疱疹およびその後の神経痛(帯状疱疹後神経痛)の予防効果が高く、50歳以上の方に推奨されます。
ワクチン接種は、個々の健康状態やライフスタイルに応じて選択することが重要ですので、詳細については当院へお気軽にご相談ください。